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福祉心理とは?心理学とは何が違うの?

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超高齢社会といわれて久しい日本社会。

そんな日本社会の中で、現在注目されている学問として「福祉心理」があります。

しかし、一言に福祉心理といってもなかなかピンと来ない人も多いです。

「福祉心理って普通の心理学と何が違うの?」「福祉心理は具体的にどんなことを学ぶの?」と疑問に思う人もいます。

この記事では、福祉心理学について解説します。
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Contents

福祉心理学とは心理学の応用分野

福祉心理学は、心理学における応用分野に当たります。

具体的には、介護が必要な老人や障害児・障害者など、社会的な弱者の心理を理解する学問です。

さらに福祉心理学は、こうした社会的弱者の心理に対する知識を深めていくことで、健常者などの支援が必要ない人同士の人間関係にも応用し、社会をよりよくしていくことを目的に作られました。

1990年代に作られた学問ではありますが、弱い立場の人への様々な理解や技能、態度を学ぶことで誰もが幸せになれる社会の実現を目指しています。
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なぜ福祉心理が必要なのか~BPSDの解説~

福祉心理が必要になってきた具体的な背景として、介護現場における認知症患者の増加が上げられます。

現在、高齢社会に突入した日本では、老人介護施設などが多く必要となっており、それに伴って優秀な介護福祉士の育成も重要な課題です。

そのような背景の中で、中には入居者や介護士との間でのトラブルなどが頻発している事例もあります。

このような入居者と介護士とのトラブルは、入居者の認知症によるところが大きいのが実情です。

しかし、介護士が適切な関わり合い方を学ぶことで、これらのトラブルを回避、減少させることは可能です。

認知症の一般的な症状は「物取られ妄想」などが上げられますが、このような症状は認知症の特徴である周辺症状(BPSD)によって引き起こされます。

BPSDは「計算ができない」「記憶がなくなる」といった脳神経の破壊によってくる直接的な症状とは違い、それによって引き起こされる行動症状と心理症状のことをいいます。

ここでは、行動症状と心理症状に分けてBPSDを紹介します。

行動症状としてのBPSD

直接的な脳機能障害とは別に、何か起因する物事があり起こる問題行動は以下のようなものがあります。

  • 睡眠障害

睡眠と覚醒のリズムが狂い「眠れない」「眠りすぎ」などが起きる現象。

また、レム睡眠などに暴力的な行動をすることもあります。

  • 拒絶

認知症患者の人が介護に抵抗したり、協力的でない態度をとる場合があります。

これは認知能力の低下から、「今から自分が何をされるのかわからない」という不安を持つために起こる症状です。

時に、介護士暴力を振るうなんてことも珍しくありません。

  • 過食・異食

記憶障害により、食べたことを忘れてしまい過食をしてしまうことが多くあります。

また、認知の低下によりそれが食べ物かどうかが分からず、食べ物ではないものを食べてしまうこともあり得ます。

  • 徘徊

記憶障害や、見当識障害での方向の見失い、判断力の低下による誰かに助けを求められないなどが複合的に合わさり、徘徊や行方不明になることをいいます。

  • 暴言・暴力

認知症の人は初期の段階から怒りっぽくなることが多いです。脳への神経伝達の量が変化することで起こると考えられており、心理カウンセラーへの相談が必要な場合もあります。

  • 不潔行動

排泄物を手で触る、または便秘を改善しようと手で掻き出すという行動も見られます。

これは不快感から来る行動とも考えられており、介護士の助けが必要になります。

心理症状としてのBPSD

脳機能障害を発端とするBPSDは、行動症状だけでなく心理症状としても現れることがあります。

心理症状としては以下のものが上げられます。

  • 不安・焦燥

本来できるはずのことができないことによる焦りや不安感を抱きやすくなります。

認知症の患者は、自分が脳機能障害であるということが分かっていない為、なぜできないのかがわからないという心理状態に陥ります。

そのことから自分に落胆し不安や焦燥に駆られてしまうのです。

  • 幻覚

認知症により、「家に知らない人がいる」「祖父の声が聞こえる」といった症状がみられることがあります。

これは過去の記憶との混濁があることで発症すると言われており、本来はいないはずの人物が見えたり声が聞こえることがあります。

  • 抑うつ

特に初期の状態の時に起こることが多い抑うつですが、これは自分の認知の低下を認識したときに現れる症状です。

自分の物忘れが激しくなってきていることに絶望し、うつ状態になってしまいます。

  • 妄想

人間関係のトラブルなどを背景に、「物が盗まれた」「家の中に人が入ってきた」という認知の歪みが発生します。

周りが否定をすればするほど、歪んだ記憶が強化され修正できなくなります。

日本の介護福祉におけるBPSDの対処法

このように認知症は記憶力の低下などに伴って様々な行動症状や心理症状を出す病気であることがわかります。

そのため、日本の介護福祉の中では、これらの症状を抑えるために暴れたり徘徊したりすることによる転倒や介護士への暴言・暴力を防ぐための処置が行われています。

例えば、徘徊などによる転倒防止のため可能な限り座位を強いる場合が多く、患者がいら立ちを覚えたり、苛立ちから文句を言うとBPSDだとみなされる現状があります。

また、耳が遠くなることで周りの声がヒソヒソ話に聞こえ、被害妄想に陥ったりしてしまうことから介護士への暴言や暴力が頻発するという事態になってしまいます。

このような暴言・暴力が多い場合、抑制帯や薬物を使って動きを封じることも珍しくありません。

しかし、これらのBPSDによる対処法は兼ねてより正しいものではないという議論がなされていました。

そのため、福祉心理の観点から介護士と利用者双方にとって、良い方法がないかという模索が始まりました。

つまり、日本における福祉心理は、社会的弱者である認知症患者の心理を理解することで、BPSDの抑制を無理なく行うことを目指す学問でもあります。
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福祉心理におけるユマニチュードという考え方

認知症患者との正しい接し方を目指す福祉心理学には、近年ユマニチュードという基本理念があります。

これは、フランスのイブ・ジネフとロゼット・マレスコッチによって提唱されたフランス語の造語です。

ユマニチュードは「人であることを尊重する」という意味を持ち、知覚、感情、言語による統括的なケアを行う方法で、「あなたを人間として尊重していますよ」というメッセージを常に発信することをいいます。

つまり、抑制帯や薬に頼らなければならない以前に、心理的なコミュニケーションを適切に行い、信頼関係に基づいた介護を行える状態にすることです。

この技法は、認知症に効果的であることが認められており、認知症患者を「記憶障害により何もわからない人」とはせず、心の関係性を構築した上で安心感を与えるものになります。

具体的な方法は以下の通りです。

1.見つめる

同じ目の高さに合わせ、正面を見つめることで相手に安心感を与える方法です。

同じ高さの目線は平等を、正面からの目線は信頼を、距離が近い目線は愛情をそれぞれ表現しています。

これができていないと、患者や利用者側からは、介護士にその気がなくても威圧的な態度に見えてしまい信頼関係が生まれません。

2.話しかける

優しくポジティブな言葉かけは非常に大切です。

「気持ちいいね」「楽しいね」などを途切れなく話しかけることで、例え状況の理解が不十分でも「今自分は楽しい状況にいるんだ」「相手は今自分を楽しませようとしてくれているんだ」と思えるようになります。

3.触れる

広い面積でゆっくりと優しく触れることが大切です。

掴まれたり引っ張られてりすることは恐怖を感じさせてしまいます。

相手に安心感を与えられるよう、広範囲を包む意識で相手に触れましょう。

4.立つ

歯磨きや身体を拭くときはできるだけ立ってもらいます。

立つことで筋肉の老化を予防し、血流も良くなるので頭に入る情報量も50%増えると言われています。

ユマニチュードを行うための心の5ステップ

また、これらの処置を適切に行うために相手との信頼関係をより強固にしていく必要があるといわれています。

そのためにはこれから示す行動を守り、少しずつ心の障壁を外していくことが必要です。

1.出会いの準備

自分が来たことを相手に伝えます。

この時に患者や利用者を絶対に驚かせてはなりません。

2.ケアの準備

ユマニチュードの「見る・話す・触れる」の技法を使いましょう。

時間は30秒から3分の間だけにし、相手が嫌がるようであればケアは後に行います。

3.知覚の連結

常に「見る」「話す」「触れる」の2つ以上を使い、その複数の情報を矛盾させないようにしましょう。

例えば、楽しいねと言いながら無理やり腕を引っ張ったりすると矛盾が生じ、信頼関係が築けなくなります。

4.感情の固定

ケアが終わり、気持ちの良い時間を共有したことを伝えます。

お風呂の後などには「シャワー気持ちよかったですね」「気持ちよさそうにシャワー浴びてくれて私も嬉しいです」と感情の共有を行います。

こうすることで、この人は嫌なことをしない人と感情を固定することができます。

5.再開の予約

再開の具体的な約束をします。

この人はまた来てくれるという期待を持つ感覚を感情に留めてもらいます。

記憶が留められる人には口頭でもいいですが、記憶を留められない人にはメモを渡しておくといいです。

具体的にいつにまた会えるのかを伝えるようにします。

まとめ

今回は福祉心理学を具体的に説明しました。

介護福祉は現在の日本に置いて必ず必要なことであり、学んでいて損はありません。

この記事は基本的なことを説明しましたが、これを機会に是非専門的な内容も学んでみることをおすすめします。

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